英語で「持続可能な」という意味をもつ「サステナブル(sustainable)」。環境・資源・エネルギー・貧困・教育・人権などの課題を解決し、未来の世代に少しでもより平和で美しい環境やその恩恵を享受できる社会をつくろうという想いが込められています。
国レベルの大きな動きとしてはもちろんですが個々の姿勢や日常の積み重ねが大切なため、さまざまなシーンでサステナブルというキーワードを聞くようになりました。そしてジュエリーの世界でも、サステナブルなアクションを行っているブランドが増えています。「未来を見据えたサステナブルなジュエリーブランド – 前編」に続き、3ブランドをご紹介します。
《HiMARI(ヒマリ)》デッドストックの宝石をジュエリーに蘇らせる
デットストックの宝石(Upcycle GemStone)を新たな加工は行わずにデザインし、ジュエリーとして再び価値をもったアイテムを展開している《HiMARI(ヒマリ)》。デッドストックの宝石とは、ジュエリーが生産される時にはじかれてしまったものだけでなく、予備・メンテナンス用として生産数以上の大量の宝石が研磨され使用されないままになっている石のこと。また、使われなくなったジュエリーの地金は再生地金として売買されるものの、宝石はダイヤモンド・希少石以外のほとんどの物は使用される事がありません。
《HiMARI(ヒマリ)》は、そんな1点ずつ異なるデッドストックの宝石を用いて、CADを使用した最新技術と伝統技法を融合することでジュエリーを制作。手間も時間もかかりますが、宝石を使いながらも通常よりも手頃な価格を実現できるだけでなく、その分腕の良い職人の手仕事に適切な工賃を設定することをかなえています。
《HiMARI(ヒマリ)》のジュエリーはHiMARI ONLINE SHOP、またNew Jewelry ONLINE STOREでは、好みの宝石を選べるカスタムオーダーでご購入いただけます。
《KISSO(キッソオ)》植物由来の素材で環境に優しい軽やかなジュエリーを実現
《KISSO(キッソオ)》は、メガネのフレームによく使われているセルロースアセテートという素材を用いてアクセサリーを提案しています。一般的な石油系のプラスチックとは異なり、セルロースアセテートは綿花を由来とした植物由来のプラスチック。この素材を使い、メガネのフレーム作りの技術を生かしてものづくりを行っています。また《KISSO(キッソオ)》では、役目を終えたメガネのサンプル材料を用いたワークショップを定期的に開催。資源を有効に活用しながら、サステイナブルなものづくりをよりよく知ってもらおうと活動しています。
《KISSO(キッソオ)》のジュエリーはKISSO ONLINE SHOP、またはNew Jewelry ONLINE STOREでご購入いただけます。
《yull.(ユール)》海の恵をあますことなく生かした鼈甲ジュエリーを提案
「with a twist」をコンセプトに、思わず「!」となるような遊び心と、素材の個性を生かしながらもヒネリを加えたデザインを展開している《yull.(ユール)》。サステナブルな取り組みとして《yull.(ユール)》が用いているのは、日本の伝統工芸としても指定されている東京鼈甲(鼈甲はタイマイという海亀の甲羅)の端材です。東京鼈甲のメガネを手掛けている大澤鼈甲から、メガネを作る上で出てしまう端材をどうにか活かせないかという話を受けたことがきっかけとなり、端材を提供してもらって新しい鼈甲ジュエリーを生み出しています。自然からの贈り物を限りなく使い、ジュエリーとしても鼈甲の魅力を伝えています。
《yull.(ユール)》のジュエリーは、yull.jewelry@gmail.comにてお問い合わせやオーダーが可能です。
※鼈甲(タイマイ)はワシントン条約による国際取引の規制対象で、日本からの持ち出し(輸出)は認められていません。また各国の法令等で規制されている場合もあり、国内での販売や使用以外にはご留意ください。
持続可能なものづくりから生まれたアイテムを購入することは、サステナブルな未来へのアクションとしてとても有効です。これまで廃棄されていた素材の魅力を引き出したジュエリーを手にして、身近なところからサステナブルな取り組みを意識してみてはいかがでしょうか。