「basic knowledge of Jewelry vol,2」は、vol,1に続いて、金属のお話。今回は「ホワイトゴールド」「プラチナ」「シルバー」などの白い金属について、お話したいと思います。
「ホワイトゴールド/ White Gold」
まず前回の“金”(ゴールド)に続いて「ホワイトゴールド/ White Gold」。ホワイトゴールドはその名の通り、“金”です。前回お話したように、純金はとても柔らかく、そのままでは加工や装着に向かないので、銅や銀などを少し混ぜて使います。その割合を表す言葉が18金(K18)や14金(K14)です。
ホワイトゴールドは純金に「パラジウム」(耳慣れない金属ですね)などを混ぜたものです。元の色は純金なので、黄金色ですが、この「パラジウム」などの金属を混ぜると、純金の黄色味が消えて白っぽい色になるのです。刻印などの表記は「K18WG」や「K14WG」です。
「プラチナ/ Plutinum」
プラチナも金と同様に自然界に存在する鉱物です。ホワイトゴールドと異なる点は元から白い金属です。発見された当初はその精錬方法がわからず、『小粒の銀』と呼ばれ破棄されていたそうですが、今では金と比較して圧倒的に埋蔵量や採掘量が違うため、希少な金属とされています。
プラチナも純プラチナ状態では加工に向かないので、やはりパラジウムやルテニウムといった金属を混ぜて使用します。
円グラフを見てもお分かりかと思いますが、プラチナはプラチナ以外の金属を含む割合がK18 に比べると少ないです。プラチナ製品のほとんどが“Pt900” という表記になっていますが、これは1000分率で含有量を表すためです。『プラチナ900:他の金属100』の金属という意味です。この割合がプラチナにとっては加工や装着に適した硬さになるということです。(グラフでは金と比較しやすいよう100分率に直しています。)
プラチナとホワイトゴールド、他に違いはあるのでしょうか?
①色
ホワイトゴールドは元が金色なので、他の金属を混ぜてもほんのり黄味・茶色がかっています。プラチナは白色ですが、シルバーと比較するとやや重い光沢を持っています。
②重さ
プラチナの方が比重が重く、金の方が比重が軽い。例えば同じデザインのものだとプラチナの方が重く仕上がり、価格も上がります。(現在、金とプラチナの1gの価格が5000円前後でほぼ同じなのと、プラチナの方が製品になった時の純度が高い為。)
③表面処理(メッキ)
これは違いと言えるかわかりませんが、どちらの金属も製品となった際、ロジウムメッキ(銀色のメッキ)などが施されている場合があります。特にホワイトゴールドは白色を強調するため、メッキされている事が多いです。なので長く使用しているとメッキが剥がれてくる可能性があります。
日本ではプラチナが好まれる傾向にあるように感じますが、海外のブランドを見ると、イエローゴールドに対して、白色の金属にプラチナとホワイトゴールドのどちらを使用しているかはブランドによって異なり、どちらも同じくらい人気があります。
「シルバー/Silver」
最後にお話するのはシルバー、金やプラチナと比較すると身近な印象の金属ですね。価格も手頃なので、ファーストジュエリーとしてシルバーを選んだ方も多いかと思います。シルバーも他の金属同様、純銀のままで使用せず少し銅を混ぜて加工します。
この割合はジュエリーと銀器などでは異なりますが、ジュエリーの場合は“925”と記されているものが殆どです。別称で「スターリングシルバー」とも言います。シルバーも通常は1000分率で表すので、”925”の場合 『純銀925:銅75』の割合の金属という意味です。
シルバーの魅力は価格が安いということもありますが、プラチナとは異なる柔らかい光沢でしょうか?少し黄味がかっているので、温かみがあります。私自身もジュエリーを始めたきっかけは、ティファニー社の銀器の本を学生の頃に手に取ったのがきっかけでした。
重さも金やプラチナよりも軽いので、大振りな物でも身につけやすいはずです。難を言えば、空気や温泉などに浸かると“硫化”という作用によって黒く変色してしまうことです。ですが適切なお手入れをすれば、元の美しい輝きを取り戻せます!
またまた数字やグラフで堅苦しくなってしまいましたが、このシルバーの問題とも言える変色を美しい個性に変えて、アーティスティックなジュエリーを制作している「itoatsuko」さんのジュエリーをご紹介して終わりにしたいと思います。
伊藤さんの作るジュエリーは、ピカピカっとしたジュエリーらしい輝きとは程遠く、金属が元の鉱物だった時の姿を想像させます。金やプラチナは高価な物ですし、それぞれ魅力のある金属です。それら高価な物の価値も知った上で、自分なりの価値観でジュエリーを選べたら素敵ですね。