イタリア発 ALIITA(アリータ)デザイナーインタビュー

今日本のファッション業界でも注目を集めている《ALIITA(アリータ)》デザイナー・シンシア・ヴィルチェス・カスティリオーニさんにお話しを伺いました。
2024.9.21

「子供の頃、空想の世界に想いを馳せてワクワクした感覚」をそのまま閉じ込めたような、遊び心溢れるジュエリーが今日本のファッション業界でも注目を集めています。

その名も《ALIITA(アリータ)》。

《MARNI(マルニ)》の創業者、コンスエロ・カスティリオーニの義娘であるシンシア・ヴィルチェス・カスティリオーニがデザイナーを務めるイタリア発のジュエリーブランドで、今年ブランド創立10周年を迎えました。

ALIITAの魅力は、その絵本から飛び出したような情感あふれる世界観と、それでいて大人の女性が堂々と楽しめる絶妙なバランス感。”ユニークで現代的なエレガンス”を放つ作品の数々は、ファンを虜にしています。

今回は、そんな独特な表現で世界を魅了するデザイナー・シンシア・ヴィルチェス・カスティリオーニさんにお話しをお伺いしました。

ファッションからジュエリーへ

元々、イタリア・ミラノのヨーロッパ・デザイン学校でファッションマーケティングについて学ばれ、イタリアを代表する複数のラグジュアリーブランドで経験を積んだ、シンシア・ヴィルチェス・カスティリオーニさん。

JEWELRY JOURNAL(以下JJ):
ファッション業界でご活躍後、2015年にジュエリーブランド「ALIITA」を立ち上げられていますが、ファッションからジュエリーへ、新たに転身されたきっかけはなんだったのでしょうか?

シンシア・ヴィルチェス・カスティリオーニさん(以下、シンシア):
きっかけは「自分自身のために、まだ見ぬ、欲しいと思えるジュエリーを作りたい」と思ったからです。可愛くてミニマルでありながら、何か大切な意味のあるもの。そんなジュエリーを身につけたいと常に思っていましたが、なかなか出会うことができなかったのです。

JJ:
「何か大切な意味のあるもの」とは?

シンシア:
最初に作ったジュエリーは「casita(家)」。私の大切な家族からインスピレーションを受けた作品です。私の家族はいつも一緒にいられるわけではなく、世界中に散らばって暮らしています。そんな「家族」をいつも身近に感じたいという想いを込めて作りました。それが最初に込めた私の「大切な意味」です。

JJ:
ブランド名「ALIITA」も「大切なもの」という意味だと伺っています。

シンシア:
はい、「ALIITA」という名前は、今私が住んでいる「ITALIA」のアナグラムであり、ベネズエラ・スリア州の土着民族グアヒロ族の言語・ワユ語で「大切なもの」を指す言葉でもあります。私はベネズエラのマラカイボ出身なのですが、私の生まれ、暮らした土地に育まれた空気を、作品を通して伝えたいと思っています。

JJ:
シンシアさんが住んでいた当時のマラカイボは、どんなところですか?

シンシア:
当時のマラカイボは活気に満ちていて、温かくて幸せな人々で溢れていました。そんな街で感じた喜びや気さくさ、そしてエネルギーを、ALIITAのコレクションにも込めています。

私の故郷から放たれる色彩や息遣いを、皆さんにもALIITAを通して感じていただけると嬉しいです。

Maracaibo

インスピレーションの源は「私たち自身の物語」

どこか愛嬌のある恐竜やオバケ、口を開けたサメにジューシーなフルーツ。まるで絵本の世界から飛び出してきたような、ウィットに富んだALIITAの作品は、大人の子供心をくすぐります。

JJ:
ALIITAのインスピレーションの源はなんでしょうか?

シンシア:
大人になると自由に楽しんだり、遊んだりすることが、時に許されないような気がすることがあります。ですが私は、夢を見ること、そして私たち自身の物語をジュエリーを通じて語ることがとても大切だと思っています。

JJ:
「私たち自身の物語」という点では、シンシアさんはお子さまとのつながりをきっかけに生まれた作品も多く発表されていますよね。

シンシア:
そうですね、子供たちとのやりとりの中から、デザインインスピレーションを受けることは増えたように感じます。一緒に読んだ本や、子供たちと庭で過ごす時間。子供たちと一緒に過ごす時間は、私自身の心を満たしてくれています。

自分を特別な存在に押し上げる「ジュエリー」という存在

ALIITAのジュエリーは、身につける装飾品だけではなく、「大切なもの、そしてそれとのつながり」を内包するお守りのような存在として、大切に生み出されていることが溢れる、シンシアさんの言葉の数々。シンシアさん自身にとってジュエリーとはどんな存在かも伺ってみました。

JJ:
シンシアさんにとって今、ジュエリーはどんな存在ですか?

シンシア:
ジュエリーは、自分を特別で唯一無二の存在と感じさせてくれるものです。私にとっては特に、ジュエリーが「自分とのつながりを持ち、身につけている作品の意味を感じられること」がとても大切です。

そして同時に、例えば日本とイタリア、日本のファンの方々と私、世界の異なる場所同士の私たちが、ジュエリーを通して、ALIITAのもつユニークで現代的なエレガンスにシナジーを感じてくれることができる点も、とても素敵だと思っています。

「日本が好きで、日本のファンの方々がどのようにALIITAとつながっているかが大好き」と屈託なく話してくれたように、彼女の温かで優しい想いは、ジュエリーを通しても伝わってきます。

シンシアさんがこれまで歩んだ歴史と、家族とのつながり、そして彼女の思う「大切なもの」が存分に詰め込まれた《ALIITA(アリータ)》の世界。《ALIITA(アリータ)》の作品を受け取り、自分の「大切なもの」と重ねてその物語を紡いでいくことができるのもまた、魅力の一つかもしれません。

ジュエリーへの情熱はそのままに、「将来的には家(casita)のための何かを作りたい」と展望も語ってくださいました。いつか、シンシアさんの作る空気感そのものを感じられる空間で、過ごせる日に期待せずにはいられません。

ALIITAのアトリエ風景

ALIITA(アリータ)POP UP SHOP 開催 - 名古屋 9月11日-17日


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