ナイトミュージアムをイメージした新店への想い《Hirotaka》インタビュー

2019.12.6

今秋、《Hirotaka(ヒロタカ)》が東京・丸の内ブリックスクエアに待望の新店舗をオープンしました。憧れていた丸の内で展開する本店には限定デザインのジュエリーが多数揃うほか、デザイナーの井上寛崇さんの世界観に満ちた空間がゲストを迎えます。

オープニングコンセプトは「Spirit of the Rainforest」

2010年、ニューヨークSohoの小さなトランクショーから始まった《Hirotaka(ヒロタカ)》。東西のカルチャーが交わってできた不思議な文様やアート、そして熱帯の森で輝く動植物のすばらしくも奇妙な美しさがインスピレーションの源になってデザインされたプロダクトは「今までに見たことがないジュエリー」と評され、全米で話題に。2016年には、東京・表参道ヒルズに旗艦店を構え、日本でも人気が広がっている。

「東京・丸の内ブリックスクエアにいつかショップを構えることができたら素敵だなと数年前から思っていましたが、いろんなご縁でその夢が叶うことになり、念願の《Hirotaka(ヒロタカ)》本店がオープンしました。空間のイメージソースは“ナイトミュージアム”。動植物のさまざまな美しさや魅力がつまっているミュージアムは私にとってまさに多様性を感じられる場所であり、インスピレーションをもらえる場所。その楽しさや驚きを少しでも感じてもらえるような場所にしたいと思って、大小さまざまなディスプレイ空間をデザインしています」

設計はトラフ建築設計事務所が手がけた。

「オープニングコンセプトは『Spirit of the Rainforest』です。奇妙な形をした植物やハッと目を奪うほど鮮やかなカラーをまとった生き物が息づく熱帯雨林は、まさに魔法の国。しかしそんな美しい世界にも現代においては自然破壊が少しずつ忍び寄り、影を落としています。宝石のように輝く動植物の世界が、自然の多様性がいつまでも輝き続けていられるようにと祈るような気持ちで、一つひとつのクリエーションが生まれています」

壁面の小さな空間一つひとつにジュエリーや世界中から集めたコレクションが陳列されている。

鳥の羽や化石、森の中で出会ったもの

ガラス扉を開くとエントランスには、オリジナルの照明オブジェなど独特の意匠が目を楽しませてくれる。

「エントランス上の照明オブジェは、目がすごく離れているほど繁殖力が高いとされているシュモクバエの目をモチーフにしています。そして、足元には蘭の花に擬態したカマキリをモチーフにした紋章。擬態したカマキリのモチーフは、リングにも展開しています。

ジュエリーと共にディスプレイしているのは、鳥の羽や化石、森の中でひろった石などさまざま。そのどれもが色や形の美しさに惹かれて手元に置いておきたいと集めてきたものであり、ジュエリーをデザインするときのインスピレーションの源になったものです」

店内中央のショーケース内には、丸の内店でのみ取り扱う限定ジュエリーなどが並ぶ。

「店内中央のショーケースの真上には、今回このショップの設計を手がけてくれたトラフ建築設計事務所がデザインしている『空気の器』のインスタレーションを展示しています。この『空気の器』に、熱帯雨林にひしめく動植物をモチーフとしたドローイングを描きました。クリスマス頃まで展示している予定なので、ぜひこの機会にご覧いただけると嬉しいですね」

ふわりと風に舞うように、オリジナル「空気の器」のインスタレーションが空間を彩る。

訪れる人のインスピレーションにささやきかける場所

憧れの地に新店舗を展開するにあたってクリエーションの源になっている動植物をモチーフにしたほか、庭に迷い込むような感覚を体験できる空間にしたかったと井上寛崇さんは語る。

「この新店舗の床は墨を混ぜたモルタルでニュアンスをつけ、ジャワ島の石を敷き詰めています。さらに両サイドにしつらえた巨大な鏡によって視線が迷い込むような感覚を生み出し、天井高4mのヌケのある空間と相まって、まるでプライベートな中庭を歩くような、美術館の小部屋を散策するような感覚をもたらしてくれます」

Bird of Paradise フックアローイヤリング 18K Beige Gold+Rhodolite Garnet ¥98,000、Bird of Paradise フックアローイヤリング 18K Yellow Gold+Yellow Sapphire ¥68,000(ともに片耳価格)、Bird of Paradise ダイヤモンドリング 18K Yellow Gold+Diamond 0.21ct. ¥580,000

Bird of Paradise イヤカフ 18K Yellow Gold+Diamond 0.53ct.+ Emerald 0.02ct. ¥350,000(片耳価格)

「丸の内店ではコアなジュエリーや限定コレクションのほか、カラーストーンのアイテムも初めて提案しています。私のデッサンがジュエリーとして形になり、それを素敵だと手にとってくれるお客様がいてくださる。ここまで紆余曲折ありましたが、こうして新しい展開が広がっていることはとても幸運なことだと思っています」

左上から時計回りに、CN04KME シグナスイヤリングL 10K Yellow Gold ¥65,000、CN01KME シグナスイヤリングS 10K Yellow Gold ¥38,000、CN02KDE シグナスダイヤモンドイヤリング 10K Yellow Gold+Diamond 0.07ct. ¥58,000、CN03KME シグナスイヤリングM 10K Yellow Gold ¥48,000(すべて片耳価格)

写真左から、CO04KME コントーショニストイヤリング 10K Yellow Gold ¥38,000、CO05KMF コントーショニストイヤカフ 10K Yellow Gold ¥48,000(ともに片耳価格)、CO06KMR コントーショニストリング 10K Yellow Gold ¥58,000

休みがあると森に出かけたり、海へダイビングに訪れるという井上寛崇さん。そんな《Hirotaka(ヒロタカ)》の世界観が凝縮された新店舗に、次はどんな動植物がジュエリーに形を変えて登場するのか。きっと、訪れるたびに新しい発見が出迎えてくれる。そんな期待に胸が高なった。


《Hirotaka(ヒロタカ)》井上寛崇さんのデザインマインドに迫るインタビューは、こちらから。


Hirotaka 丸の内店
住所:東京都千代田区丸の内2-6-1丸の内ブリックスクエア1F
営業時間:11:00-21:00
問い合わせ先:03-6273-4511


Profile 《Hirotaka(ヒロタカ)》井上寛崇
2010年、デザイナーの井上寛崇さんによってニューヨークのSOHOでスタートする。現地の雑誌編集者やスタリスト、モデルの間で人気が広まり、老舗百貨店などを中心に全米で展開中。日本では2016年3月に東京・表参道ヒルズにショップを展開し、今回新しく丸の内に直営店がオープンした。
公式HP | http://hiro-taka.com


Text by Naoko Murata





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