今まで知らなかった小さな国の物語 時間と空間に思いを馳せる Fillyjonk (後編)

2017.2.28

異世界に思いを馳せたり、小さな発見があったり、過去を懐かしんだり、自然を敬ったり、、、そんな思いをはせることのできるデザインをコンセプトに、建築や風景をモチーフとしたアクセサリーをつくるFillyjonk(フィリフヨンカ)。前編につづき、こちらが後編です。
Fillyjonk は、“どこかにある架空の国”

平岩:
Fillyjonkというのは、“どこかにある架空の国”という設定で、ふたりで国を作っているイメージなんです。気に入ってくれた人も、その国の住民になっていって村みたいになって広がっていったらいいな、と。

JJ:

おふたりの価値観がそのまま国民性になってるってことですよね。“Fillyjonk”っていう響きは、北欧だったりそっちの響きかなと思ったんですが。

兼森:
響きとしては、日照時間の少ないようなところの雰囲気がイメージですね。晴れるときもあるし、曇りもあるし、というのがいいので。

JJ:

おふたりの雰囲気も、やわらかですが、どこかに鋭いものを感じます。悪い意味ではなくて、その方がずっと本当で嘘がない感じというか。物語にでてくる登場人物の奥行きみたいな感じで。

兼森:
また、男性女性とか、特にどんな人物、とイメージの付いていない名前という意味でつけました。スペルは英語です。

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日常とはまた違う空間に思いを馳せるということ

JJ:

まさにブランドの立ち上げ=新しい国家の旗揚げといった感じだったわけですね。コンセプトに掲げられているキーワードに“豊か”というワードが出てきたんですが、どういったことを豊かであると感じますか?

平岩:
時間や隙間や、余白がある、ということですかね。例えば、電車に乗ったらすぐスマホを開いて時間を埋めちゃう時代ですけど、そうでなくてぼんやりしたり、本を読んだりして日常とはまた違う空間に思いを馳せることもいいなあって思っています。

JJ:
確かに、Fillyjonkのアクセサリーは、随所に空間や時間を感じさせる要素が出てきます。そういったことを感じられることが、“豊か”につながる 大切な要素で、世界観が作られているとわかりました。ご自身たちとしても、そんな豊かな時間から作品が生まれてくるんでしょうか?

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平岩:
アトリエにきて事務作業をしはじめたりしてしまうと、あっという間に日常に埋もれて時間が過ぎてしまったりするので、たまに時間をつくって出掛けるようにしています。那須高原のコテージを借りて、制作合宿をしたり。

兼森:
今週も実は、NYに出張にいってきます。それから、6月に出展したインテリアライフスタイル展で、主催者の方から声をかけられてドイツの8月29日~9月 1日に開催される展示会に招待されたので、それも楽しみにしています。城だとか建築だとか、見に行きたいものがたくさんあるので、今から心踊らせてます。

JJ:
まさに、豊かな時間から生まれてくるわけですね、、でもほんと、おふたりが仰る豊かさを同じように大切にしている方、大切にしたいと思っている方は必ずいらっしゃると思います。そんな方に、出会っていただきたいですね。

平岩:
これまでに出会ってつけていただいている方には、自分たちが表現したい雰囲気や世界観を気に入っていただけてるんだと感じることが多いので、少しずつですね。年齢の幅も広く、まちまちですが。

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JJ:
今回伊勢丹で発表されるのは、どんなシリーズでしょうか?

兼森:
Bibliotecas(ビブリオテカス)という、図書館の森をテーマにしたシリーズです。今シーズンから、テーマを設けてシリーズをつくるということをはじめました。家具の上に本が乗っていたり、古書にでてくる花をモチーフにしたり。

平岩:
ちなみに、次に発表するシリーズは、海や灯台をテーマにしていて、Fillyjonkの世界地図が広がる感じに展開していこうと考えています。

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JJ:
世界地図がちょっとずつ広がっていくかんじ、、楽しみですね。アクセサリーに関わらず、今後やってみたいことはありますか?

平岩:
実は今シーズンは、テーマがBibliotecas(ビブリオテカス)であることもあってステーショナリーのプロダクトもちょうどつくったりしています。鉛筆のキャップ、本のしおりなど、、、

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兼森:
こういった、絶対なきゃいけないというわけではないもの、っていうものに興味があるので、こういうものを作っていきたいとも思っています。あとは、家具だったり、、いつか、全部がFillyjonkの世界観で満たされた家なんかが作れたらいいですよね。

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Fillyjonkのおふたりと彼らの空間で、彼らのつくったものを眺めながらお話を聞いていると、不思議とすごく守られた気持ちに、、作っているもの自 体はアクセサリーと形のあるものですが、昔から語り継がれる物語のような奥行きを感じるインタビューとなりました。Fillyjonkという国の、これからの展開が楽しみです。

interviewed by Hiromi Midorikawa
photo by Yuka Yanazume
Fillyjonk:http://www.fillyjonk.com/

Jewelry Journal Artist Page:http://www.jewelryjournal.jp/brand/fillyjonk/


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