ジュエリーブランド《AS_LABO(アズラボ)》は、知る人ぞ知る日本のクリエイティブテイラー。20年以上もの間《agete(アガット)》や《NOJESS(ノジェス)》など数々のブランドを知識と技術によって支えてきたクリエイティブチームが2016年に始動したプロジェクトです。GINZA SIXでの期間限定ショップオープンを前に、今まで語られてこなかった“ものづくり”に込められた想いを聞きました。
AS_LABO:
アズラボは「ラボ」の名の通り、実験室という本質を持っています。新しいものを開発する研究所ではなく、もともと存在するものを材料に、誰も考えつかなかった手法を組み合わせる実験です。例えばシェルや水牛の角を藍で染めてみたり、九谷焼の技術とコラボレーションしてみたり。
AS_LABO:
一般的な素材にこの業界では珍しい手法を試すこともあれば、逆にアンティークのアクセサリーに用いられる技術を新しいマテリアルに応用するなど、可能性は無限。もちろん一度でうまくいくことはほとんどありませんが、一番美しい状態を実現するには何をどうやってどのくらいの時間をかけるのが正解か… 細かく微調整しながら、レシピを完成させます。私たちがこのプロジェクトをスタートした当時は、10金をジュエリーに使ったことも驚かれました。今は10金もスタンダードになっていますよね。その成功も、誰も目を向けていないことを最初にやってみること、チャレンジの必要性を実感した経験となっています。
“ものづくり”と一口に言っても手法は様々。0から1を生み出す方法もあれば、既存のものに足し算や掛け算を加えて新しいものへの変換する方法もあります。アズラボの場合は、後者をとことん追求することが立ち上げ時からの変わらぬポリシーなのだとか。
AS_LABO:
そもそも私たちは実験結果となった技術を技術ごとブランドに提供してきたクリエイティブチームで、立ち上げから約20年経った今も変わらず実験と提供を繰り返しています。ブランドとしてスタートさせたのは、そこで培ったクリエイションをお客様にも直接触れていただきたいという想いからなんです。
AS_LABO:
11月28日よりオープンするGINZA SIXの期間限定ショップには、15年ほどの時間をかけて集めてきた色石が一堂に会します。ブラジルからの仕入れがメインで、中でも珍しいのが水晶。実はブラジルの水晶というのは、日本にはあまり出回っていません。地球の反対側からの仕入れは手間もリスクも大きく、エメラルドなど高価な宝石は買い付けても水晶をわざわざ取り寄せようとする業者がいないんです。
それでも我々がブラジルにこだわったのは、その水晶の希少価値ですね。中にブラックトルマリンやインディゴトルマリン、鉄鉱石が入っているものなど他の国では取れないカラーストーンが手に入ります。特にこの紺色はかなり珍しい。
AS_LABO:
この美しさに魅了されて、特別なルートから原石を直接買い付けるようになりました。鉱山から直接情報をもらって月に2回の便でやり取りをしています。ブラジルの職人たちに協力してもらって、カットも現地での手擦りにこだわっています。こういった珍しい石は、一点や二点は店頭で見ることもできるかもしれませんが、コレクションとしてかなりの数をご覧いただける機会はそうないかと。ひとつひとつ色味が違うので、出合いを楽しんでいただきたいですね。
AS_LABO:
もうひとつ、他では手に入らないものが特別なカットを施したパール。まるでコーティングしたかのように見える光沢は、南洋パールをカットすると自然と現れる艶なんです。カットによって顔を出す真珠の層が美しさを放ちます。これもブラジルの職人による手擦りです。
AS_LABO:
さらに今回の期間限定ショップでは、こういった私たちのルーツに少しでも触れていただくためにジュエリー以外のアイテムもご紹介する予定です。一つ目は天然石の一輪挿し。石の色から日本でデザインを起こし、ブラジルの職人の手で仕上げています。
AS_LABO:
また、額装したアートワークにもご注目ください。アクセサリーを作り上げる工程を表現したものなど、色石の魅力を別の側面から楽しんでいただけるようなライフスタイルグッズを発表します。
どんなものでも最初の一つは一点もの。だからこそハンドクラフトには出合いの尊さや味わいがありますが、それが素晴らしいものであればあるほど、製品としてたくさんの人に届けたいと思うのも素直な心理。クラフトとプロダクトの中間を実現することはできるのか? そんなテーマへの挑戦も、アズラボが実験を続ける原動力。
AS_LABO:
トレンドをつくっているブランドは世の中にたくさんあります。そんな中で私たちは、普遍的なジュエリーを作りながら、普遍的なこの業界の可能性を探っても行きたいんです。例えばこれまで一点しか作れなかったものも、もしかしたら技術の向上や手法の組み合わせによって量産に近いことができるかもしれない。その技術を広めて習得してもらって、技術ごとメーカーさんに発注すれば、職人たちの仕事も増えて行く。そんな期待と、希望を持っているという背景も、自分たちを後押ししているんです。均一じゃない美しさを持つジュエリーに魅了されているからこそ、その魅力が広げるための手段は、実験を繰り返しながらこれからも探り続け、未来につなげていきたいと思っています。
Profile
《AS_LABO(アズラボ)》 | 自由な発想。素材へのこだわり。ハンドワーク。それらを形づくるのは、受け継がれてきた様々な伝統技法と卓越したテクニックの融合。AS_LABO(アズラボ)は、ものづくりを通じて新しい価値を生み出していくクリエイティブテイラーです。
《AS_LABO(アズラボ)》期間限定ショップがGINZA SIXにオープン
《AS_LABO(アズラボ)》ならではのクリエイションから生まれたカラーストーンの世界が楽しめるポップアップストア。初のお披露目となるレアストーンのジュエリーやライフスタイルグッズなど、ここだけの特別なアイテムがラインナップ。
日時:2018.11.28 wed. – 12.25 tue. 10:30-20:30
職人来店日:毎金・土・日 11:00-18:00
場所:GINZA SIX 4階 THE POP UP 4th
住所:東京都中央区銀座6-10
URL:http://www.as_labo.jp
お問い合わせ:0800-500-5000
*状況によりスケジュールが変更になる可能性がございます。
イベント詳細について、詳しくは「《AS_LABO(アズラボ)》が魅せるカラーストーンの世界 期間限定ショップオープン – 銀座」もご覧ください。
Text by Yukiko Shinmura
Photo by Koto Sato