川柳×ジュエリーの展示会「INVISIBLE THREAD」開催レポート – 南青山 7月20日-8月4日

2024年7月20日(土)から8月4日(日)まで、南青山Feb gallery Tokyoにて、「INVISIBLE THREAD – Tomorrow is Another day(明日は明日の風がふく)」が開催されています。

 

ミュンヘン、ニューヨークを経て初の日本展開催

この展覧会は、いしかわまり・ 嶺脇美貴子・横内さゆみが、嶺脇ルイの川柳をもとに、ジュエリーを制作したことからはじまりました。ミュンヘン(ドイツ)、ニューヨーク(アメリカ)を経て、今回で5回目。初の日本展となります。

入り口の扉を開けて驚くのは、目の前に広がる光景と植物たちの自然の香り。会場中の壁や柱に掲げられた、川柳・ジュエリー・絵画・唐紙・生け花が共存する森の中にいるようで、とても居心地のいい空間です。

 

川柳「竹トンボ 風は明日を連れてくる」を軸とした作品群


川柳は、5・7・5という17文字で構成されながらも、鑑賞する側の経験や想像力、好奇心によって、文字数を超えた無数の解釈が生まれます。「INVISIBLE THREAD」では展覧会ごとに新しい川柳を選んで、新作を制作・発表されていますが、今回選ばれたのは「竹トンボ 風は明日を連れてくる」という句。

中国で生まれ、奈良時代頃に伝来したと言われる「竹トンボ」は、手のひらで軸を挟み、しっかりとこすり合わせて回転させながら離すと、揚力で空に飛びあがります。くるくると回る竹トンボは、風に乗ることでさらに遠くへ、さらに高く舞い上がって、時を超えた新しい風を呼び込んでくれる玩具。

「自分の手が飛翔の原動力になる」と考えると、手で何かを生み出そうとしている「INVISIBLE THREAD」のみなさんにとっては、ぴったりのモチーフだったそうです。

 

森のような空間を散策しながら作品を楽しむひととき

参加する作家たちは「竹トンボ」そのものをモチーフに取り入れても、竹という素材からアイディアを広げたり、流れる風の動きにインスピレーションを広げても、川柳と作品をどうつなげるかは自由。

言葉を単体で取り上げるのと違って、言葉と言葉がつながる川柳からは、物語が生まれます。

いしかわまり作品
横内さゆみ作品

作り手たちが、川柳から新たに広がる光景、その背後にある心情を読み取り、句を想いながら制作に向かったことで、様々な表現方法が混在しながらも、自然に共存できる空間になっています。

今回はギャラリーの協力もあり、唐紙作家の菅原文葉さん、絵画作家のYUKEYさん、生け花・絵画作家のruteNさん、そして、映像作家の藤井アンナさんと、新たなつながりを生み出し作品が生まれました。

会場の7つの句と作品たちは、ruteNさんの生け花で流れるようにつながって、まるで森を散策しているように作品を見ることができるのも話題です。

 

川柳を読み解く来場者参加型企画も

今回の展示会では来場者が作品に参加できるのも、面白い試み。会場では、自由に言葉を選んで身につけることのできるピンが用意されています。

この企画はミュンヘン展の際からスタートしたもので、そもそもは「日本語の川柳をどう伝えるか」という問題を解決するためにたてられたもの。直訳では、川柳の背景や心情を自由に感じとる楽しみが半減してしまうからです。

日本語の川柳の理解に大切な「単語と単語の余白部分を読み取ってもらう」という解釈の元編み出されたのは、「一つの句を4つの英単語で表現する」というこの作戦。さらにその単語をリボンにスタンプしたピンを自由に組み合わせて身に着ける、という創造のプロセスも楽しめます。

自由に文字を組み合わせ、オリジナルな詩となった言葉のジュエリーは、コミュニケーションツールとなって、作家たちと作品・作品と来場者・会場と来場者を見えない糸でつなげてくれています。

開催は2024年8月4日(日)まで。ぜひ足を運んでみてください。


INVISIBLE THREAD – Tomorrow is Another day
日時:2024.7.20 sat. – 8.4 sun. 13:00-20:00 ※closed on mon & tue
場所:Feb gallery Tokyo
住所:東京都港区南青山4-8-25
URL:https://febgallerytokyo.com/blogs/exhibition/invisible-thread
お問い合わせ:03-6459-2062



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