ブルー、ピンク、イエロー・・様々な美しい色彩を持つ石として人気のサファイアは、現在市場で目にする9割以上が、加熱処理されたものだと言われています。
高温で加熱することで、その色をよりはっきりと整えたり、内包された雑味を飛ばしたりし、サファイアの魅力をさらに引き出し、美石に昇華。
そんなサファイアですが、稀に加熱処理はされていなくとも、美しいシルクインクルージョンや発色をもつ原石が存在します。
それが「非加熱サファイア」というピースです。
異彩を放つ美しさを帯びる希少な石として、多くのデザイナーを魅了するこの「非加熱サファイア」を仕立てたジュエリーを、今回は宝石の審美眼には定評のあるブランドからご紹介します。
《CAHiER》サファイアとテーパーバケットカットのリング
柔らかい色味と清らかな透明感が魅力の、スリランカ産の非加熱サファイア。ひときわ石の品質に定評のある《CAHiER(カイエ)》ですが、”宝石界のレジェンド”と称される諏訪貿易の3代目で会長の諏訪恭一を父に持ち、幼い頃からその審美眼をストイックに養ってきたことでも知られるデザイナーが選んだ美しいピースです。
「ラプソディー・イン・ブルー」からインスピレーションを得たこのリングは、隙間なく並んだ都会のビルをイメージしてデザイン。デザイナーがサファイアに持つ、”憧れの街にいる陶酔感と焦燥感”を表しています。サファイアの石枠は横から自然に光を取り込むように大きくえぐり、ダイヤの爪部分と共に鏡面仕上げにしました。
CAHiER | サファイアとテーパーバケットカットのリング / 1.79ct無処理サファイア(GIA有)、ダイヤモンド、プラチナ / ¥1,430,000 | オンラインストアはこちら
《Fillyjonk》moss ring ナチュラル ブルーサファイア
内包物を含むジェムストーンに関する知識とコレクションには定評のある《Fillyjonk(フィリフヨンカ)》が選んだのは、貴重色と呼ばれる、コーンフラワーブルーの美しいサファイア。インド・パキスタン国境に位置するカシミールの山岳地帯から産出されるサファイアの中でも、彩度が高く柔らかな少し靄の掛かったすみれ色が美しいブルーのサファイアをコーンフラワーブルーと呼び、この産地限定の呼び名となります。
白い花の様な内包物を含んだこのピースは、まるで風景画のように内包物が奥行きを与えてくれて想像力を掻き立てられる逸品。色々な角度からうっとり眺めたくなります。
苔(moss)のテクスチャーが添えられたシンプルなデザインで仕立て、天然石が自然に帰り苔むす様を表現。自然美を追求するFillyjonkならではのデザインと石選びです。
Fillyjonk | moss ring / K10、ナチュラル ブルーサファイア(カシミール産 、IGITL発行ソーティング付き)/ ¥138,600 | Fillyjonk Atelier Shopまでお問い合わせください(ご予約フォーム / tel: 03-6802-7860 / mail:info@fillyjonk.com)
《MISUI》TWEET Blue Sapphire Earrings
柔らかく明るい色彩が美しい、マダガスカル産の未処理ブルーサファイヤをあしらったピアス。こちらのサファイアは、サスティナビリティを大切に、環境と地域社会への意識の深いウェニックレフェールを通じて入手されています。
TWEET(さえずり)と題されたこちらのコレクションは、実はちいさな鳥がくちばしに種をくわえている姿を表現。ヨーロッパで最も栄誉のある「フランソワーズ・ヴァン・デン・ボッシュ賞」を受賞し、国内外の美術館に作品が収蔵されるなどコンテンポラリー・ジュエリー界を牽引するデザイナーMarc Monzó(マーク・モンゾ)がデザインしています。
MISUI | TWEET Blue Sapphire Earrings / K18YG, Blue Sapphire 0.14ct / ¥103,400 | オンラインストアはこちら
《19un-neuf》cloudy Ring
碧とパープルの光が角度によってさまざまな表情を見せてくれる、非加熱ならではのニュアンスが美しいバイカラーサファイア。デザイナーがThai チャンタブリーで出会った、ミャンマー・モゴック産のこのルースは、唯一無二の表情、フォルムに惚れ込み、厳選されました。
柔らかな儚いフォルムを硬質な素材で形にした「cloudy」シリーズのリングは、飛行機の窓から眺める雲の形をイメージ。石の美しさを生かす様にベゼルセッティングの幅を限界まで細くしています。
19un-neuf | cloudy Ring / 素材教えてください / ¥296,500 | オンラインストアはこちら
宝石コレクターの中では常に論争になるそうですが、加熱されているものが悪い、加熱されていないピースが良いということではありません。
ただ、加熱処理をされたサファイアが多数の中、非加熱処理のサファイアに出会えるのは奇跡に近いできごと。ご自身が気に入った一点があったら、それはもう運命かもしれないと、迷わず手に取ってみてください。