着物を自分で着始めてから一年ほどたちます。
まだまだ勉強不足で、知りたいことの尽きない着物の世界ですが、
そんな私へ友人が贈ってくれたのが河井寛次郎作の帯留めです。
陶芸家である寛次郎が帯留めを多く制作したのは京都に窯を持ったことも関係しているかもしれません。
柳宗悦や濵田庄司、バーナードリーチとも親交があった寛次郎は、
彼らとともに民芸運動にも力を入れ実用品としてのものの美しさを追究してゆきます。自分の作品が美術品として扱われるのを嫌い、ある時期から作品に名入れをするのをやめたのだそう。
「私は私を形でしゃべる、土でしゃべる、火でしゃべる、石や鉄などでもしゃべる。」
寛次郎の残した言葉どおり、自由な造形と力強さが小さな帯留めにもしっかりと込められています。