今まで知らなかった小さな国の物語《Fillyjonk》インタビュー (前編)

異世界に思いを馳せたり、小さな発見があったり、過去を懐かしんだり、自然を敬ったり、、、そんな思いをはせることのできるデザインをコンセプトに、建築や風景をモチーフとしたアクセサリーをつくるFillyjonk(フィリフヨンカ)。Fillyjonkを営む兼森周平さん・平岩尚子さんへのインタビュー。前・後編で公開します。

JJ:
こんにちは。本日は、よろしくお願いします。素敵なアトリエですね!元小学校だった校舎を活用しているところをうまく活かされて、雰囲気がなんとも言えず。

平岩:
ありがとうございます。台東デザイナーズビレッジに引っ越してきて、もう2年半です。3月までに引っ越しなんですが・・・本当にあっという間です。

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空間と時間を感じさせるというコンセプト

JJ:

3年って、あっという間ですよね。デザビレといえば、JEWELRY JOURNALでもこれまでにインタビューさせていただいたtalkativeは卒業生、janukaは今在籍中・・・。みなさん活躍されて素晴らしいですね!さて、今回は、Fillyjonkの謎に迫りたいと思います。早速ですが、Fillyjonk はお二人でものづくりされているということですが、プロフィールには「空間やアクセサリーを制作するデザインユニット」とあるのがまずユニークですよね。ものづくりは、どういう分担で進められているんですか?

平岩:
最初は彫金を学んできた私がアクセサリーをつくる、建築を学んだ兼森は展示する空間や言葉の表現など、つくること以外の周辺のことをする、という感じである程度分かれていたんです。空間そのものの仕事も受けていたりして。それが、あるとき兼森から「こういうアクセサリーを作ってみて」と提案されて作ると、「違う」と言われて、「じゃあ自分でつくったらいいじゃない!!」となって笑。作り方の基本を教えていって、少しずつ兼森もつくることを習得して。そうやって生まれたのが、建築のシリーズです。

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JJ:
「違う」っていいそうですね笑。Fillyjonkといえば、「お花」のシリーズと「建築」のシリーズをイメージしますが、建築の方はさすが空間担当だった兼森さんの発想だったんですね。

兼森:
笑。小さい空間が指の上に広がるのっていいなと思ったんです。小さな世界にも興味がありましたし。そこから空間と時間を感じさせるというコンセプトが膨らんできて、「家具」のシリーズや「木と家」を組み合わせたところから発想した天然石のシリーズも展開しています。

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主観をちょっとだけ客観化する。集団的主観を持つふたり

JJ:

兼森さんもつくるようになられて・・・ということは、お二人のものづくりは、デザインはAさん、加工はBさん、というような分担作業で一つのものを作られているのではない、ということでしょうか。

兼森:
ふたりともデザインもするし、作ります。新しくつくるときは、それぞれが思うものをつくりはじめて、「ここかな」という時点で意見を出し合ったり手を加え合います。そうすると、お互い解けていなかったことがすんなり解決したり、とんがっていた個性がちょっとだけ丸くなったりするんです。主観をちょっとだけ客観化する。集団的主観と呼んでいるんですが。

平岩:
私はとりあえず作ってみよう!と作り始めるタイプで、兼森は頭でしっかり考えこんでから作り出す方なんですよね。なので、途中で相方の手を加えると、ちょうどうまくいったりするんです。

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JJ:

そういう意味でいうと、“ふたりの人がデザインしたものが混在しているいる“というよりは、“ひとりの人の別人格が作っているものが展開している”という感じに近いかもしれないですね。

兼森:
別人格笑。でも確かにそうかもしれませんね。基本、何か選ぶ場面では同じテイストのものを選ぶけれど、「男性だ」「女性だ」ということで、細かな選択という結果は、異なることもあるので。例えば、僕は男性なので、やっぱりつけたときの付け心地や見え方という部分のことは平岩の方が見えていますし、ふたりであるということには、本当に助けられています。

平岩:
私は男性的な考え方をする部分が割と多い方で、兼森にも女性的な部分が少しあって、それでお互いが近いところに共通の価値観を持っている、というのもあると思います。

JJ:

おふたりが寄せあっているんですね。デザインユニットとして、そういった在り方ってなかなかないと思うんですよね。やっぱり長く続けていけばいくほど、得意分野が明確になり、効率を求めて分担作業になりますから。そうやって重なって考えられるふたりだったら、何かはじめるのも自然と納得しました。

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おふたりならではのデザインの仕方やものづくりに対する姿勢に迫った前編。後編は、Fillyjonkの哲学やこれからのことを伺っています。後編はこちらよりご覧いただけます。

interviewed by Hiromi Midorikawa
photo by Yuka Yanazume
Fillyjonk:http://www.fillyjonk.com/

Jewelry Journal Artist Page:http://www.jewelryjournal.jp/brand/fillyjonk/


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