「西荻窪のアトリエを訪ねて」- 後編 - 《januka》デザイナー中村穣さん 妻・夏子さん

西荻窪の一角にある小さな複合施設“KITAYON”で、アトリエ兼ショップ、ご自宅を構える《januka
(ヤヌカ)》のデザイナー中村さんと、奥様の夏子さんのコラム後編は、おふたりの旅にまつわるお話と、旅先で愛用するアイテムやジュエリーについてお聞きしました。

スイスにはじまり、アメリカ、そしてオランダと、学生時代から海外で暮らしてきた中村さんは、旅のエピソードも豊富。ニューヨークからエジプトへのひとり旅や、男友達4人でアメリカ横断の旅といった、海外からの旅の経験も数多くあるそう。

「海外慣れしているせいか、食べ物は何でも平気ですし、緊張することもない。旅先は、素になれる場所なのかも」と中村さん。実は、物に執着しない質で、海外のどこへ行ってもパスポートや財布、ノート、大きなリュックから服までも紛失してしまう、そんな一面もあるようです。「旅先で読んだ本でも、その場にポイと捨ててしまいますし、思い出を手元に残さないタイプですね」。


でも、そんな中村さんも旅でこだわるアイテムがありました。“macromauro”のビッグサイズリュック〈写真右〉は、頒布にペンキ塗装が施された独特の風合いが格好よくて、様になります。そして、さまざまなデザイナーの作品のなかから、少しずつ集めてきたピンバッチ。ふだんシャツを着る時もネクタイをつけない中村さんが、旅先でも、おしゃれのアクセントとして愛用しているそう。その日の気分で単体着けしたり、2、3個着けたりと遊べるといいます。


「2、3泊の旅でもシチュエーションは変わりますから、旅先に小さなジュエリーをいくつか持って行きます」とは夏子さん。繊細なジュエリーは、木製のジュエリーケースや小箱に入れ、ポーチに詰めて持ち運ぶそう。「ちょっと素敵なレストランへ出かける時などは、お気に入りのピアスに替えるだけでテンションもアップします」。

夏子さんの旅アイテム、その顔ぶれは…。「《januka(ヤヌカ)》のアイテムを主に、双子のアコヤパールのネックレスや、天然石を使ったバンドシリーズのリング、陶磁器の六角形ピアスはブランド初期の作品です。ほかに、水晶を挟んだクリップピアス、メッシュのピアス。そして、彼が選んでくれた、アンティークのオメガ(時計)も旅に連れて行きます」。

 

取材の最後に、夏子さんがそっと見せてくれたもの。それは、中村さんのお父さまから、お母さまへと贈られた、ダイヤのエンゲージリングでした。結婚が決まるとジュエリーブランド《himie(ヒーミー)》でリメイクし、夏子さんへと贈られた。ハネムーンの旅でも着けたエンゲージリングは、特別な思いが刻まれています。木製のケースのなかで、ハレの日に着ける出番を待っている、宝物です。

おふたりが日々を過ごす居心地のいいアトリエで、旅のお話やジュエリーについてお聞きしている時間は、とても楽しいひとときでした。《januka(ヤヌカ)》の「お手本から少しずれた」ジュエリーを、旅先で着けたときのウキウキするような高揚感や、ハレの日に輝きを放っている様子を、頭の中でぐるぐる思い描いていました。これからの作品や展開がとても楽しみです。

 
-後編は、旅にまつわるお話と愛用アイテムについて触れました。前編では、西荻窪にあるアトリエの様子やおすすめのカフェを紹介しています。
 


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