2025年3月10日(月)、山梨県が行う「山梨デザインプロジェクト ~山梨が生み出す 新しいカタチ~」の新製品発表会が開催されました。
山梨県の製品をグローバルなブランドに
2024年度より山梨県がスタートした『山梨県立美術館附属山梨デザインセンター連携 土産品高付加価値化支援事業「山梨デザインプロジェクト ~山梨が生み出す 新しいカタチ~」』。山梨県でしか手に入らない高付加価値な製品を、グローバル市場でブランド化することを目指しています。
初年度である今回は、県内事業者3社(株式会社大直、株式会社詫間宝石彫刻、TSUGUO)と、日本人デザイナー3名(プロダクトデザイナー深澤直人氏、プロダクトデザイナー柴田文江氏、テキスタイルデザイナー須藤玲子氏)が製品を共同開発しました。
詫間宝石彫刻がプロダクトデザイナー 柴田文江と協業
新製品発表会では、製品を共同開発した世界を舞台に活躍するデザイナー3名と「和紙」「水晶」「織物」に携わる県内事業者3社の代表者が登壇。それぞれの製品を紹介し、開発秘話を語りました。

「和紙」プロダクトデザイナー 深澤直人 × 県内事業者 (株)大直:古谷愛
制作物:A4ライト、A4ライトバッグ、おにぎり型お弁当箱、ブリーフケース
深澤氏コメント抜粋
「お土産を作ることも重要ですが、それだけではない大きなビジョンをもって、大直さんとお話をさせていただきました。今回の作品は大直さんとともに、他が真似できないほど手間のかかったしっかりとした作品に仕上げたため、山梨の名産品にしていきたいです。」
和紙について
森林率の高い地理的環境と、周囲の豊富な水源や楮(コウゾ)・三椏(ミツマタ)といった和紙の原料を調達しやすい環境があり、産地としての長い歴史を寄与してきました。山梨の紙すき業の歴史は1,000年にも及び、障子紙だけでなく、小物や包装など、幅広く用いられています。

「水晶」プロダクトデザイナー 柴田文江 × 県内事業者 (株)詫間宝石彫刻:詫間康二
制作物:ショットグラス、ペーパーウェイト
詫間氏コメント抜粋
「初めは柴田さんに10・12・18面体の3種類をお願いされて、さすがに18面体は難しかったのですが、12面体に挑戦してみたら実現させることができました。」「山梨はジュエリーの街として知られていますが、宝石彫刻はその根源にあります。この事業を機会に、宝石彫刻という伝統工芸に注目していただきたいと思います。」
水晶について
金峰山一帯を中心に、豊かな水晶資源を有する山梨。この地で最初に水晶が発見されたのは約1,100年前。今では企画・デザインから原料調達、研磨・加工、流通まで全工程が連携する世界的にも稀有なジュエリーの集積産地へと発展を遂げています。

「織物」テキスタイルデザイナー 須藤玲子 × 県内事業者 TSUGUO:渡邊將太
制作物:納屋柄 バッグ、納屋柄 ストール、納屋柄 シャツ
須藤氏コメント抜粋
「富士桜の柄を作ってみたのですがうまくいかず、初めて富士吉田に訪れた際に、車中から見えた、『納屋』をヒントに絵にし、そこから抽象化して今の納屋柄になりました。」「本当に細く柔らかい糸を使用しており、そんな糸をコントロールできるというのは山梨ならではの技術だと思います。」
製品紹介後は、県内事業者3名とデザイナー3名に加え、本事業オーガナイザーであり山梨県デザインセンター センター長の永井一史氏も交えたトークセッションを開催。
詫間氏は「水晶は縄文時代から続いていますが、今後も現代の日常に合うようなものづくりをしていきたい」、深澤氏は「山梨で育ち世界で活躍する我々が、山梨を新たに見直すというところにこのプロジェクトの意義がある」とコメントしました。
今回の製品は、今後山梨県のふるさと納税返礼品として採用されるほか、百貨店や空港などで順次販売が予定されています。
「山梨県土産品高付加価値化支援事業」とは
山梨県内の事業者と著名デザイナーとの連携による本県ならではの付加価値の高い土産品の開発を支援するもので、令和6年度よりスタート。伝統的な産業と現代のデザインを融合させた高付加価値商品を世界に向けて発信し、山梨の文化的価値を国内外に広めることで、魅力的な観光地としての認知向上を図ることを目的としています。今年度は3名のデザイナーと県内3事業者の取り組みで9つの製品を開発しました。
「⼭梨デザインセンター」とは
洗練されたデザインによる地場産品の商品開発やプロモーション支援を行うほか、多摩美術大などさまざまな機関と連携してデザインを学ぶ講座を開き、子どもから大人まで幅広い層にデザイン思考の浸透を図っています。また、デザイナー、アーティスト、クリエイターなどのネットワーク構築の拠点として機能させ、政策立案へのアドバイス、地域アイデンティティーの創出などに貢献することを目指しています。
デザインを通して、イノベーションやコミュニケーション、そしてプレゼンテーションが生まれる場所となるように、素材や品質、ディテールにこだわり、シンプルで落ち着きのある空間として構成。⼭梨におけるデザイン活動のハブになる拠点としてデザインされました。
URL:https://ydc.pref.yamanashi.jp/